- 日本トレーサビリティ協会事務局
- 並木 章事務局長
今から40年前、農林省東京輸出品検査所に勤めていました。そこは農林畜水産物を輸出検査法に基づいて検査し、合格すると通関用の証明書を発行する機関でした。
当時、農産物では茶、しいたけ、みかん、球根など、林産物では合板やインチ製材、畜産物では原毛皮(タヌキ、キツネ、ミンク等のなめす前の毛皮)、水産物では寒天、魚粉、種がき(牡蠣の稚貝)、加工食品では醤油、粉乳、つけもの、グルタミン酸ソーダなどを検査していました。また、冷凍水産物は輸出検査法に基づく指定検査機関であった現在の(財)日本冷凍食品検査協会が、食料缶・瓶詰は現在の(財)食品環境検査協会が検査を行っていました。
当時、輸出検査業務の一つに、「原産地確認」がありました。
これは、米国の反共政策によるものであり、昭和25年12月、今の中国、北朝鮮との取引禁止を目的に戦時立法に基づき「外国資産管理規制」を制定し、当該国の在米資産を凍結するとともに、米国との一切の取引を禁止しました。
さらに2年後、上記管理規制を改正し、当該国の原産と想定される商品の輸入を禁止しました。
これは、農林水産物の輸出振興上大問題となり、日米交渉で「覚書」が交わされました。 これにより、「日本の原産であることを証明する日本政府の証明書が添えられている物資については輸入が許可されることとなる「原産地証明制度」が始まりました。のちに、北ベトナムまで広がったこの制度は、昭和46年7月まで続きました。 原産地証明が最後まで求められた品目は、大豆、小豆、たけのこ、醤油、味噌、大豆油などでした。 当初の手続きは、かなり面倒で、たとえば、「醤油」を輸出するには、
①原料大豆の入手経路を証明する書類を添付して
②農林省輸出品検査所から「原産地検査証明書」を発行してもらう
③農林省経済局から「原産地確認証」を発行してもらう
④通商産業省通商局から「原産地証明書」を発行してもらう
ため、輸出業者はあちこち、お役所を回らなければなりませんでした。 一件当たりの書類が分厚く、かつ輸入大豆の場合は英文混じりで、提出する方も、確認する方もそれに費やしたエネルギーは相当なものでした。 醤油に使われている大豆が中国産ではないという証明をするために、輸出業者はロットごとに、ひとつ前の受け入れ業者からの引き渡しの書類を受取り、さらにその先の事業者からその原料の入手先を確認するという、まさに今でいう「トレーサビリティ」が求められ、最後の大豆生産農家まで辿りつかなければ第一段階の「原産地検査証明書」が入手できませんでした。 当時は米国に原料の氏素性を納得してもらうための「原産地の遡及確認」でしたが、これからは事業者間で、取り扱う原料や食品移動の情報が的確に伝達されるよう「トレーサビリティ」の積極的な活用が期待されます。 <参考資料:農林規格検査所30年史>
これは、農林水産物の輸出振興上大問題となり、日米交渉で「覚書」が交わされました。 これにより、「日本の原産であることを証明する日本政府の証明書が添えられている物資については輸入が許可されることとなる「原産地証明制度」が始まりました。のちに、北ベトナムまで広がったこの制度は、昭和46年7月まで続きました。 原産地証明が最後まで求められた品目は、大豆、小豆、たけのこ、醤油、味噌、大豆油などでした。 当初の手続きは、かなり面倒で、たとえば、「醤油」を輸出するには、
①原料大豆の入手経路を証明する書類を添付して
②農林省輸出品検査所から「原産地検査証明書」を発行してもらう
③農林省経済局から「原産地確認証」を発行してもらう
④通商産業省通商局から「原産地証明書」を発行してもらう
ため、輸出業者はあちこち、お役所を回らなければなりませんでした。 一件当たりの書類が分厚く、かつ輸入大豆の場合は英文混じりで、提出する方も、確認する方もそれに費やしたエネルギーは相当なものでした。 醤油に使われている大豆が中国産ではないという証明をするために、輸出業者はロットごとに、ひとつ前の受け入れ業者からの引き渡しの書類を受取り、さらにその先の事業者からその原料の入手先を確認するという、まさに今でいう「トレーサビリティ」が求められ、最後の大豆生産農家まで辿りつかなければ第一段階の「原産地検査証明書」が入手できませんでした。 当時は米国に原料の氏素性を納得してもらうための「原産地の遡及確認」でしたが、これからは事業者間で、取り扱う原料や食品移動の情報が的確に伝達されるよう「トレーサビリティ」の積極的な活用が期待されます。 <参考資料:農林規格検査所30年史>