農場で生産されたものはすべて記録 NICOTは、国産の牛肉・豚肉・鶏肉とオーストラリア産の牛肉の一部に対して、生産・加工・販売の履歴情報を蓄積し、インターネット上で開示する仕組みです。農場で飼育されている品種や飼料、予防注射などの情報を農場単位で管理し、工場、流通を経て商品を仕入れた小売店などで情報を検索することができます。 NICOTでは、日本ハムグループの農場で生産されたものはすべて管理され、記録として残されています。その数は、北海道内だけで豚が14農場、鶏が23農場。個体数では数え切れないほどだということです。 それほどの量を管理するシステムを構築するには時間や手間がかかったのでは、と今回お話を伺った札幌営業部の丸山部長に尋ねたところ、「構築にはそれほど時間はかかりませんでした。」と意外な答えが返ってきました。「それよりも、実際に運用を始めた後、現場の作業者が慣れるまでに時間がかかりました。」と丸山部長は続けられました。 実際に情報を登録する作業は、農場と工場で行われています。農場で、使用した飼料や予防注射などの情報をパソコンで記録・蓄積していき、農場から工場に出荷するときにその情報も伝達される仕組みになっています。そして、工場で入荷した豚や鶏を解体後、重量を量るときに管理番号をつけています。この管理番号をつけるという作業が以前よりプラスアルファで増えた分、最初は時間がかかっていたそうです。作業者が慣れるまでは、ラインのスピードを遅くするなどして対応していたと丸山部長は話されました。 一方、農場では、もともと飼料などの情報の蓄積を行っていたので、NICOTの導入後も、それほど作業負荷の増大にはならなかったそうです。 また、NICOTを構築し、運用することによるメリットを伺ったところ、企業イメージの向上を挙げられました。直接の取引先である小売店などに対し、他社と違う強みのひとつとしてこのシステムを説明でき、「安全・安心に対し、そこまで取り組んでいるのはすごいね」といった良い反応を得られているそうです。 個体識別への取り組みも 日本ハムグループでは、NICOTのシステムをさらに推し進め、農場単位ではなく、個体単位で履歴情報を管理することにも取り組んでいます。現在は、北海道南部の柴田農場で、豚の個体識別が試験的に取り組まれています。 豚1頭1頭に、ICタグを組み込んだ耳票を取り付け、1頭ごとに情報の入力・管理を行っています。個体ごとに管理された豚は、八雲町の工場に運ばれ、その他の豚と混ざらないように処理されます。1日に処理している800頭の豚のうち、個体識別された豚は10〜20頭だそうです。 個体識別された豚は、ラインで処理されるのではなく、1カ所で1人の作業者が処理をして、他の豚と混ざらないようにしているそうです。 個体識別に関して、丸山部長は、「今までと違う作業が発生していて、手間がかかっている」と話されました。今は一部分だからできているが、数が増えてきたら新たにラインを整備するなど、仕組みを変えていかなくてはならないとお考えです。また、屠畜後、工場内での部位ごとの管理にも、ICタグやucodeなどの活用が必須だろうと考えられています。
食の安全・安心はグループ全体の理念 NICOTの運用が開始されたのは平成15年。平成16年12月に施行された牛肉トレーサビリティ法に対応するシステムとして構築されたのが始まりでした。対象を豚・鶏やオーストラリア産牛肉にも拡大して運用されています。 なぜ、法律で規定されていない豚や鶏にも対象を拡げたのでしょうか?この問いに対し、丸山部長は、「グループの理念として食の安全・安心があったからです。」とお答えになりました。また、丸山部長は、「日本ハムグループという一つのグループで、全体の方向性としてやっていったからこそ実現することができた。」とも話されました。企業の姿勢として、今後こういうシステムが必要になってくるだろうとの予測の元での開発だったということです。
NICOT以外にも、農場の徹底した衛生管理やSQF(Safe Quality
Food、生き物を扱う工場の実態に合わせた、国際的な食品安全規格)の取得など、安全・安心に積極的に取り組んでいる日本ハムグループ。その取組が、有効なモデルとなるよう期待されています。
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